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つまり return です

SUGARとRINについて

久々にSUGAR全巻とRIN全巻読みました.
最高のボクシング漫画ですね.
スポーツ物って天才キャラがいろいろな描かれ方されますけど,
これ以上の描き方はないんじゃないかってくらいに素晴らしいです.

一巻でボクシングと出会うわけですが,その出会い方からして異常.
その前に主人公のリンが他の物語では見ないようなキャラクターなんですよ.
饒舌にまくし立てるように喋る喋る.
そしてじっとしていずに踊って駆け回ってます.
天性のダンサーのような主人公が昔の兄貴分の女(ニューハーフ)からボクシングを教わることで人生が変わっていきます.
たまたま職場の寮の近くにあったのが元世界チャンピオン天才中尾のボクシングジム.
またこの中尾が本当にいいキャラなんですよ.
クズとしかいいようがない.
作中でのこの表現,

「天は二物を…」じゃ表現として甘すぎ
天は中尾をギリギリヒトとするためにボクシングのみを与えやがった!!

こんな表現他じゃ見れない.
まぁ対象がクズじゃないとこういうセリフにならないからっていうのもありますが.
新井英樹の漫画は人間がすごく生々しいんですよ.
映画で見たいくらいに,このまま実写化してほしいって思えるような描写が多いんです.

主人公も後半どんどんクズになっていくんですが,
これもボクシングに対してあまりに純粋すぎるんですよ.
純粋だから余計なものをリングに持ち込んで欲しくないんです.
努力や汗,過去への贖罪などは彼にとって不純なものなのです.
相手の最高を引き出して味わいたいために相手を挑発します.
リングに不純なものを持ち込もうとする観客をマイクパフォーマンスで罵倒します.
自分を理解した気になって近づこうとするものを拒絶します.

タイトルになってるSWEET AS SUGAR.
リングの上でだけ味わえる甘さ.
それを求めているだけなんです.
それ以外に求めていたのは幼馴染からの愛情だけでした.
しかし彼女は主人公を理解できずに彼から離れるように他と付き合い始めます.

もう最高ですよ.
新井英樹はTWIMや宮本から君へ,キーチなどおもしろいものたくさん書いていて大好きです.